男性HPVワクチン事業化に反対します

2024(令和6)年3月25日、第1回定例会 一般会計予算審議において、男性HPVワクチン接種の補助事業に反対し、生活者ネットワーク他1会派で、組み替え動議を提出しました。

提案理由を下記に記します。

当事業の名称は、「男性HPVワクチン予防接種事業」となっていますが、接種対象者は小学校6年生から高校1年生相当の男子ですので、大人ではありません。子どもの健康に関することなので、効果とリスクに関してはより慎重な審議が求められます。

事業の目的として性感染症や癌の発症予防があげられていますが、薬剤(ガーダシル)の効能または効果として承認されているのは、性感染症は尖圭コンジローマ、がんは、肛門がん、この二つの疾病です。尖圭コンジローマは治療法が確立しており自然治癒する場合もあり、ワクチンで予防することが必須の疾患ではありません。肛門がんは2019年の罹患者数は581人。10万人あたりの粗罹患率(そりかんりつ・年齢調整していない罹患率)は0.9と、極めて稀ながんで、男性患者の平均年齢は60.5歳と高齢です。

以上を総合すると、HPVワクチンの男子接種は、約50年後に年間100万人に2人程度が発症するがんを予防するために12~16歳相当の男子に約5万円の費用をかけてHPVワクチンを3回接種するというものであり、その費用と接種した男子が受ける副反応のリスクを考えると、費用対効果、リスクベネフィットバランスがともに著しく悪いと考えられます。

また、「男女間の性交渉による女性への感染防止を図る」としていますが、そうした間接的効果を立証するエビデンスは存在しません。

当市においては、2020年に接種した女子が健康被害を受けています。現在、副反応被害について厚生労働省で審査中とのことですが、市としてこの女子の現在の健康状態や生活状況を把握することなく、国や医療機関が対応するとして、市の責任がないかのような答弁が繰り返されています。本来なら、10代の子どもに健康被害を起こしてしまった事実を重く受け止め、我が国ではまだ実績のない男子への接種については、慎重な上にも慎重に判断するべきところを、多摩26市の中でもいち早く補助金を出すという判断は、熟慮を欠いた事業提案と言わざるを得ません。

以上、この事業は市民の健康増進に寄与するとは言えないことから、組み替え動議を提出いたします。

提案会派として説明後、質疑が行われ、女子のHPVワクチンについて質問を受けました。女子についても副反応の懸念があり、当市で被害者が出ていることは重大な問題であり、慎重にするべきと考えを述べ、ワクチンを否定するものではないと答弁しました。子宮頸がん予防には検査が重要であり、ワクチンに偏った施策は問題です。

採決の結果、賛成少数で動議は否決されました。

議決結果 ※敬称略

賛成5:生活者ネットワーク(1)、参政党(1)、子どもの権利を守る会(3・片山かおる、古畑俊男、高木章成)

退席1:子どもの権利を守る会(1・渡辺大三)

反対16:自由民主党 信頼の小金井(4)、みらいのこがねい(4)、日本共産党(3)、公明党(2)、小金井をおもしろくする会(1)、街の仲間たち(1)、緑・つながる小金井(1)

組み替え動議は否決されましたが、その他の予算には賛成のため、一般会計予算には賛成しました。

男女どちらが対象でも、HPVワクチンの副反応被害の懸念は拭えません。とりわけ男子に関しては、HPVを広めないためという公衆衛生の観点で勧奨されており、当人の健康を守ることは主眼ではありません。

これまで議会で、副反応のリスクについて、当市で被害者が出ていることを情報提供するべきと何度も求めていますが、個人情報として拒否されています。効果ばかり強調しリスクを少なく見せることは、市の不作為に当たると考えます。大人の責任において、真に子どもの健康を守るための施策を求めていきます。