公立保育園廃園条例案が提出される

2022年8月26日 東京新聞朝刊

9/1から始まる令和4年第3回定例会の議案が配布され、公立保育園の廃園条例が出されました。全議員が出席して行う全員協議会はこれまで4回開催され、まだ質疑が終わっていないのにも関わらず議案を提出してきた市長。次回全協は9/5に予定されていますが、議案が提出された後どういう運営になるのか。8/26議員への議案説明会でも疑問の声が上がりました。

また、当該保育園(くりのみ、さくら、わかたけ)の各父母会と公立五園連絡会から、議案提出をしないことや、専門家を入れた協議の場を設定すること等の要望書が相次いで出されていますが、市長は保護者と“対話”を続ける気配はありません。来年4月から廃園に向けた段階的縮小を開始するには、今定例会で議案を議決する必要があるというスケジュールありきで進めようとしています。

方針に書かれた廃園の理由は、施設の老朽化、一般財源の負担、市内保育定員の適正化など市の施策に関するものばかりで、保育園自体の問題は何もありません。保護者アンケートで満足度は公立保育園5園合計で95%以上と高く、中でもくりのみ保育園はなんと100%。50年以上の保育実践が全保育園で積み上げられ、高い満足度につながっていることがわかります。

市内保育園は園庭のない保育園が増え、国基準を満たす園庭の割合が37%と多摩26市で突出して低く、3園を廃園にすればその数値はさらに下がることになります。公立園では常設のプール、荒天でも体を動かすことのできるホールも備えています。跡地利用のビジョンもなく利用者満足度の高い保育園を廃園にし、市全体の保育サービスの向上と言われても、何の説得力もありません。裏付けとなる財政効果の資料もこの方針の正当性を裏付けるものではありません。

今まさに子育て真っ最中の保護者たちは、どんな思いで市の対応を見ているでしょうか。廃園による子どもへの影響は何も検証されていません。保護者からの要望書に対して市は、予想できることは事前に対応する、予想されていないことが起こったら真摯に対応する、としています。何もしないと言っているに等しい回答だと思います。廃園することへの影響を検証し公立保育園のあり方を定義することなしに、廃園などという大きな方針は決められないはずです。