新庁舎等建設に関する住民投票条例、否決される

7月31日、小金井市議会臨時会が開かれ、「小金井市の新庁舎及び(仮称)新福祉会館に関する住民投票条例」が審査され、本会議即決で議決が行われました。

新庁舎及び新福祉会館の設計について「現行案に基づくものとするか、又は見直し案に基づくものにするか」市民の意志を明らかにする目的で、地方自治法第74条の規定により、条例が市長の意見を付して議会に提案されたものです。市長の意見は「反対」。

生活者ネットワークは、議案に反対しました。反対討論の全文を掲載します

 

議案第 38 号 小金井市の新庁舎及び(仮称)新福祉会館に関する住⺠投票条例に関して、生活者ネットワークとして反対の立場で討論します。

生活者ネットワークは、「大事なことは市⺠が決める」をモットーに、市政に市⺠の意見 が反映されるよう活動してきました。住⺠投票は市⺠の意思を表明する手段として市⺠に認められた権利であり、「市⺠が決める」方法の一つとして、尊重されるべきものと考えます。しかし、今回の新庁舎等建設に関する住⺠投票は、市⺠への情報提供のあり方、提案された条例案の内容ともに、賛同できるものではありません。

新庁舎及び新福祉会館の設計について条例案では、「現行案に基づくものとするか、又は見直し案に基づくものとするのかの市⺠の意思を明らかにする」とされています。この問いの立て方自体が適切ではないと考えます。

現行案と見直し案では、建設条件等が異なります。また、公に選ばれた事業者が法的な根拠を持ち、議会での予算等の検証を経て、コストと時間をかけて作成した実施設計と、専門家を名乗る一市⺠の方による見直し案は、成立した土台が異なり、単純に比較することは出来ないことは、請求者の方も理解されていることと思います。

住⺠投票の署名活動では、この二つの設計を並列に比べ、投票でどちらかの案を選ぶという説明がされたと聞いています。仮に住⺠投票が実施され見直し案が選ばれた場合、基本設計の前提条件の検討からやり直すことになります。署名した市⺠の方々は、見直し案がそのまま採用されるわけではないこと、設計の検討に時間とコストがかかる可能性があることについて十分な説明を受け、ご理解の上で署名されたのか、疑問に感じます。

請求代表者の方々の陳述内容を踏まえると、「現行案でいくか、基本設計からやり直すのか」というのが適当な問いではないでしょうか。「現行案か、見直し案か」という問いを立てることで、新庁舎等建設について詳細を把握しきれない市⺠をミスリードした面がある、と言わざるを得ません。

また先ほど「仮に住⺠投票が実施され」と述べましたが、この条例案の通り郵送での投票では、本人確認を確実に行い、真に公平な結果が得られる選挙の方法は確立していません。郵送投票にあたり、投票の実施方法や、市⺠の方への情報提供のあり方について十分な検討が必要であり、それには時間とコストがかかります。

新庁舎建設に関しては、これまで市⺠参加で検討委員会や策定委員会などを行い、市⺠の代表である議会での議論や議決を踏まえ法的な手続きを経て進めてきた経緯があります。 市⺠の意見が十分に反映されていない、とのご意見は受け止めますが、だからと言って、 現行案を白紙に戻し、基本設計からやり直すだけの、現計画に瑕疵や手続きの問題があるとは判断できません。

以上のような理由から、生活者ネットワークは、住⺠投票を行うことが市⺠の利益になるとは判断できないため、この条例案には反対します。

以上

東京MXテレビで詳しく報道され、安田の討論の一部が放映されました。こちらから観られます→TOKYO MX TV news FLAG

生活者ネットワークは、新庁舎及び新福祉会館は、現設計でスケジュール通り速やかに建設することが市民の利益にかなうと考えます。