HPVワクチンのお話会をオンラインで開催しました

ご自身の経験を話してくれたゆうかさんは、ヨガインストラクターとして活動中

人生の選択として、接種について考えてほしい

4月からHPVワクチンの積極的勧奨が再開され、接種の判断に迷う方へ、副反応の可能性についても知ってほしいと思い、5/8にオンラインでお話会を開催しました(主催:生活者ネットワーク)。

話し手は15歳の時にワクチンを接種して25歳の現在も痙攣などの副反応症状が残る金澤佑華さん。自身の経験を話す活動をしていると、ワクチン反対派と捉えられてしまいますが、ワクチン絶対反対とは思ってないとのこと。「身近な人が子宮頸がんで苦しんだという経験がないので、ワクチンの被害で大きく人生が変わってしまった自分はワクチンがこわいけど、がんを恐いと思う人もいる。人生の選択として、接種をどうするか考える一つの情報として自分の経験を捉えてほしい」と思いを話してくれました。

以下、お話をまとめてみました。副反応を発症したらどうなるのか、ぜひ知ってほしいと思います。

1.子宮頸がん予防ワクチンとは

がんの原因となるHPVウイルスは100種類以上ある。そのうちの高リスク型15種類位。女性の50%〜80%はウイルスに感染するが9割はガン化せず消滅する。時間をかけてガン化するため検診が大事。感染の原因である性交渉を始める前の年齢での接種が推奨される。ワクチンは主に2価のサーバリックス(16型と18型)、4価のガータシル(16型、18型、6型、11型)。16型と18型は高リスク型とされるが6型と11型は低リスク。どちらも筋肉注射で3回接種。どちらも「子宮頸がん予防が期待できる」とされる。

2.中3でワクチンを3回接種

幼少期は食物アレルギーがあったが小学生の時は水泳に打ち込むなど健康だった。中学の時はソフトテニス部で部長を務めた。大好きだった祖母に影響を受け看護師に憧れた。中3の時、接種のお知らせを学校で受け取る。友達の間でも打つのが当たり前で何の疑問も持たなかった。腕が痛くなるというので部活を引退した9月に1回目を接種した。看護師に憧れていたので、その姿に将来の自分の姿を重ねてワクワクするような気持ちだった。腫れや痛みはなかった。

2回目は10月。接種後、頭にモヤがかかったような感じ。目がはっきり見えない。薬を飲んでも治らないような頭痛で学校を休むようになった。接種後1週間後位に受診。原因は「肩こり」と診断される。ワクチンの副反応とは全く思っていなかった。翌3月に3回目を接種。頭がガンガン痛み、朝カーテンを開けると眩しくて目の玉が潰されるように痛い。身体がだるい。受験のストレスだと思っていた。登校できても保健室へいくことが多くなる。リンパマッサージを受けるなどしたが改善せず。親に言えなかったが夜尿症もあった。

3.体調が悪化した高校生活

4月、遠方の5年制の看護高校へ進学し、下宿生活を始める。同じ看護師を目指す友人と夢を語り合った。1日8時間寝ないと次の日は強い倦怠感で学校へ行けない自分の状態は、徹夜も平気な同年代の友人とあまりにも違うことに気づく。自分は普通ではないと認識し、整体やヨガなど健康に良さそうなことを様々に試した。ひどいときは1日何度も頭痛薬を飲まないと生活できない状態だった。

高校1年生の終わり頃、教室で机を移動させるとき、初めて目眩に襲われた。脳みそが一回転するような感覚で、立てない。座ってもぐぐらぐらする。目の玉が横に揺れる眼振が止まらなくなった。その頃から、横になっても止まらない目眩、耳鳴り、倦怠感などの症状がどんどんひどくなっていった。

高校2年の7月、今度は初めて痙攣に襲われる。部活(テニス部)中にラケットを持つ手に力が入らず肘下が痙攣。自分の意思とは関係なく肘下が強く動き、何時間も続く。病院で麻酔を打ち、やっと止まった。それから右手の痙攣が頻発するようになり、左手、足、と全身に出るようになった。足がブルブル震えるので、立とうとしても力が入らず立てない。喉の痙攣もありひどいしゃっくりでお腹が出たりひっこんだりして止まらなくなった。

8月、下宿生活が難しくなり、アパートを借りて母と生活を始める。病院で脳波を調べたりMRI検査もしたが原因不明。精神的なものと言われるが精神科でも病名はつかないと言われる。どこへ行っても原因がわからない。痙攣が止まらなくなり、頻繁に意識を失うような状態。9月、歩けなくなり車椅子で登校。授業中意識がなくなり担架で運ばれることが何度もあり、通学が難しくなった。

4.ワクチンの副反応と気づく

11月、休学しアパートを引き払い自宅に戻る。母の主治医の産婦人科医に症状を話したところ、「子宮頸がんワクチンの副反応ではないか。製薬会社に詳細を説明し対処したほうが良い」と助言を受け、初めてインターネットなどでワクチン副反応について調べる。一つでは収まらない様々な症状で苦しんでいる同年代の女性たちの存在を知り、初めてワクチンが原因かもしれないと思い、治療してくれる病院を探した。

手足が勝手に動く付随意運動が1日4時間続くようなことが続いた。症状は多様で他にも痙攣、失神、目眩、トンカチで叩かれるようなひどい頭痛、目が見えない、声が出ない、一時的に名前などがわからなくなる記憶障害、倦怠感、骨の痛み、耳鳴り、夜尿症、光過敏、手足の硬直など多岐にわたった。

結局通信制高校に転学し、看護師の夢は叶わなかった。現在はフリーのヨガインストラクターとして働いているが、今も痙攣の症状は続いていて体調を見て休みながらやっている。何度かアルバイトをしたこともあるが、1日8時間続けてはたらくことが難しい。副反応被害者で痛みがひどい人は外から見てもわからないため、車椅子利用が怠けていると思われるなど、周囲の理解を得るのが難しい現状がある。

5.副反応の治療法とは

厚労省は各都道府県で協力医療機関を定めている。全身痙攣で車椅子を利用しながら、指定されているリハビリテーション科を受診したところ、「この病院では副反応なのかどうか調べることは出来ない。リハビリしたければしてください」と言われる。神経内科など脳の検査ができる科を紹介してほしいと頼み、後日同じ指定病院の神経内科を受診。母は医師に「娘さんはYouTubeの動画を見て真似をしている。検査をしても異常は出ないので検査は出来ません」と告げられ、「ヒステリー障害」と診断される。

それまで何かあったら病院が助けてくれると思っていたが、初めてそうではないと思った。副反応が原因かもしれないといろんな病院を受診したが、「そんなことをしているから看護師になれないんだ」など医師から心ない言葉を言われたりした。副反応や薬害は社会に理解されていない。看護師の勉強をしていた時も自分は薬害に関係ないと思っていた。自分が被害に遭って救済されない現実を思い知った。学校に行けなくなり将来の夢を断たれ、健康になる道筋もなく、何を助けに生きていけばいいのかと、この時期はとても苦しかった。

検査をしてくれる病院は全国でわずかしかなく、脳の検査は静岡まで行った。ワクチンが脳に炎症を起こしているのではないかと背中から髄液を取り検査した。2011年、障害名「上下肢機能障害(右上下肢不随意運動)」原因は子宮頸がんワクチン副反応による疾病とされ、障害者手帳を交付される。副反応かもしれないと思い始めてから約3年かかった。

治療の効果は個人によって違いが激しく、被害者同士で情報交換しながら自分に合った治療法を探している。上咽頭から血を出す治療(Bスポット療法)はとても痛いが頭のモヤ感や光の眩しさが解消されるなど効果があった。身体に良いことはなんでも試してみた。

6.ワクチン接種について

2010年ワクチン接種に公費助成。2013年4月定期接種開始、副反応の訴えが相次ぐ。6月積極的干渉中止、2022年積極的勧奨再開。ワクチン説明文書に記載されている規制区分は「劇薬」。免疫原性については「効果体と長期間にわたる感染の予防効果及び子宮頸がん及びその前駆病変の予防効果との相関性については現時点では明確でない」と明記されている。そういうことも当時は知らなかった。

接種数338万人に対して副反応の国への報告は2,584人。5年前から薬害起訴が起こされており原告数は131人。学齢期だった被害者は大人になり、学校へ行けないという問題から働けないという問題になっている。この先薬害が認められるまでどれくらいの時間がかかるのか見通せない。被害者は不安な気持ちで生活している。

薬害は社会からないもののように扱われ、日常生活の会話にも出てこない。被害者は体調に波があり周囲の理解を得られないこともある。体調に不安がある中、やってみたいことや働くことに挑戦する時に、副反応の被害について知っている人が周りにいると心強い。自分が経験を話すことで社会の理解が進み、被害者が社会生活を送る手助けになればと願っている。ヨガクラスは被害者のために始めた。諦めることに慣れてしまった被害者の方に、今まで出来なかったことが少しでも出来るようになった、という経験をしてほしいと願っている。

今の社会ではワクチンは接種するかしないか、という話になってしまっている。どちらにしても「健康になりたい」「健康でいたい」という思いは同じで、その先の選択で分裂してしまっている。健康を願う気持ちはみんな同じなので、そこを見ながら生活していきたいなと思っている。

(ゆうかさんのお話終わり)

副反応の体験を聞いて

話を聞いた参加者の方からは、大変な体験を話してくれてありがとうと感謝の思いが示されました。現在積極的勧奨が再開されたことに関しての質問には、自分の存在が消されているようで怒りとか悲しみで情報を遠ざけていた時もあった。目の前の人には説明できるけど世の中の風潮を変えようとするとしんどいので、自分の心を守るために出来ることをすればいいと気持ちを整理していると話してくれました。

参加者からは参考図書「子宮頸がんワクチン問題(みすず書房)」の紹介があったり、モデル・女優の高橋メアリージュンさんがワクチン接種していても子宮頸がんに罹患したことなど(→インタビュー記事)情報交換し、子宮頸がんを予防するためにワクチン接種に偏った施策がなされていることに疑問の声が上がりました。病気についての知識や検診、包括的性教育など、予防に必要なことは様々あることが共有でき、和やかな雰囲気のお話し会になりました。

とても穏やかな語り口で、辛いエピソードもありましたが終始笑顔で一生懸命にお話ししてくれたゆうかさん。自分の体験を伝えたい、という思いが伝わってきて、胸を打たれました。改めてゆうかさんに感謝申し上げます。ご参加の皆様も、本当にありがとうございました!!

参加した方から後日感想をいただきました。その一部を最後に紹介します。

お話の中で一番印象深かったのは、ワクチンを打つ側も打たない側も、健康を大切にしたい、という同じ目的を持っているということ。対立するのではなく、それぞれがきちんと情報を共有し、それぞれの納得いく決断をし、またそれを尊重出来るといいなと思いました。