地下水の有機フッ素化合物(PFAS)汚染
体内に蓄積し、がんなどの疾患を引き起こすと言われる「永遠の化学物質」有機フッ素化合物(PFAS)が、基準値を超えて多摩地域の井戸水から検出されています。1月3日東京新聞の一面に大きく取り上げられました。東京都水道局は、現在は厳しく水質検査し問題のない数値になっているとしていますが、汚染は一部の取水場で約15年前から確認されており、長期にわたる摂取の影響が心配されています。
令和4年(2022)第一定例会の一般質問で、安田が小金井市の水道水の原水について質問したところ、地下水の割合は1割以下でほとんどが河川由来と分かりました。地下水及び湧水を保全する条例がある小金井市の水は、地下水の割合が高く美味しいと認識していたので驚きました。一体いつから割合が変わったのでしょうか。「市内の水道水は、市内にある地下水系を主体とした梶野配水所と小平市にある上水南給水所を主体としており、不足分については、利根川・荒川水系と多摩川水系を取水源とする東村山浄水場から補っている」とし、上水南給水所は現在施設整備中で揚水を中止しているため、河川の割合が高くなっている、というのが部局の答弁でした。
グラフ:令和2(2020)年度 小金井市における水道水の原水割合
市内の水道水は地下水を主体とする、ということは揚水が停止されるまでは地下水の割合はもっと高かったはずで、市民は地下水を飲み続けていたことになります。
有機フッ素化合物(PFAS)汚染について、国は長らく規制値を定めておらず、2020年にやっと水道水の暫定目標値は50ng/ℓ(ナノグラムパーリットル)と定められました。過去の濃度調査では基準値を超える数値は認められませんが、2006年〜2008年の間など、飛び飛びで記録が抜けています。この間、府中武蔵台浄水所などで高濃度の汚染が確認されています。当市ではどうだったのか、健康被害はないのか気になります。
東京都水道局 多摩地区の有機フッ素化合物の過去の検査結果及び 水源の検査結果 ※数値の単位は、μg/ℓ(マイクログラムパーリットル)
汚染源は米軍横田基地や半導体工場などからの漏出が疑われていますが、調査されておらず特定されていません。アメリカでは2022年に飲料水の勧告値を大幅に厳格化し、70ng/ℓから3000倍も厳しい0.02〜0.004ng/ℓと定めました。生涯飲み続けても健康被害がないと考えられる水準で法的拘束力はありませんが、人体に残り続けその影響について未知数であることから予防原則に沿った対応といえます。
日本がアメリカより厳格とする数値は、生涯飲み続けた場合の健康被害まで想定したものではありません。数値の厳格化と汚染源の調査を速やかに行うべきです。水道事業は市から都へ移管され、行政は地域の実情を把握しづらくなっています。都に丸投げではなく市としての対応を求めていきます。